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砂糖の性質

砂糖に関する情報をあつめました。
1)砂糖の原料

砂糖は大半がサトウキビ(甘蔗:かんしょ)甜菜(てんさい)から作られます(ほかにはサトウカエデ(メープルシュガー)やサトウヤシ(パームシュガー)からも作られています)。サトウキビや甜菜は、15-16%くらいの糖分を含みます。茎(根)を刻んで汁をしぼり、アクをろ過しつつ、湯煎(ゆせん)などで焦げ付かないように煮詰めて水分を除去していくと黒砂糖らしき甘い粉が得られます。

ちなみに砂糖は賞味期限をつけなくても長期保存が可能です。JAS法でも、賞味期限をつけなくてよい食品になっています。水分や温度などで固まったら、電子レンジにかけるとほぐれます。

2)砂糖の化学  C11H22O11 MW342.3

砂糖はスクロース(サッカロース)で、グルコース(Glc)とフルクトース(Frc)が結合した二糖類です。二糖類といえば、ほかに、マルトース(麦芽糖:Glc+Glc、水あめ)ラクトース(乳糖:ガラクトース+Glc、牛乳の甘み)も身近な二糖類です。糖類の多くは還元性を示す還元糖ですが、スクロースは還元性を示さない非還元糖です。
スクロースの構造を形成する単糖の1つが五炭糖ですから、立体を組んでみるとわかるように、変形できません。マルトースだったら、構成糖がGlc(六炭糖)2つで、還元性を示すOH末端が2個あります。1つを他方のGlcとの結合に用いても、あと1つ残っているけれど、スクロースのOH末端はFrcに結合するのに使われてしまいました・・ので、還元性がないのです。

砂糖
     砂糖の結晶

還元性なし、とは・・・アルデヒドの還元性をみるので、
 フェーリング反応するかどうか?

      R-CHO + 2Cu2+ + 4OH- → R-COOH + Cu2O + 2H2O

 銀鏡反応するかどうか? 

      2Ag+ + 2OH- → Ag2O + H2O

      Ag2O + 4NH3 + H2O → 2[Ag(NH3)2]+ + 2OH-

      RCHO + 2[Ag(NH3)2]+ + 2OH- → RCOOH + 2Ag + 4NH3 + H2O

で確認できます。
「未知植物の水抽出液から得られたこの結晶は何?」というような時に定性反応を使えます。

 

スクロースは、市販グラニュー糖でも高純度で99.8%くらいあります。コンタミ(Contamination)なし、という大前提のもとで、試薬特級の代わりにグラニュー糖を使うのも学校現場では安全でいいと思います。結晶は氷砂糖として市販されています。スクロースの融点は186℃ですが、170℃くらいでカラメル化します。プリンの「カラメル」です。独特の食欲をそそる芳香を放ち、食用に使われます。

水溶性が高く、甘みの感じ方に温度依存性がないため甘味料として優れています。果糖は甘みの感じ方に温度依存性があり、温度が低いと強く甘みを感じるようです。ショ糖を酵素により加水分解して、「ショ糖+グルコース+フルクトース」の混合物にすると、より甘みを強く感じるようになります。この混合物は転化糖で、還元糖です。

 

3)砂糖の性質 
砂糖分子にはたくさんOHがあるため、高い保水性があります。よって、食品中の自由水もがっちり抱え込むことができます。

その性質が防腐性や保水性・親水性につながります。そのほかにも、砂糖は「アミノカルボニル反応」「カラメル化反応」を起こして食物をよりおいしくするのに貢献しています。

      さとう

(1) 食品を長期保存してもカビや腐敗を起こりにくくする。(防腐作用)

 砂糖分子が食品中の自由水と結合すると、その自由水はカビや腐敗菌が利用できない水になります。だから、砂糖や、砂糖使用量の多い高級ようかん・砂糖漬け・和三盆などは長期保存が可能です。ただし、ジャムやあんこなど、昔は砂糖使用量が多くて腐敗しにくい食品であったもの、でも、近年は、砂糖使用量を減らしている場合やほかの糖類を使用している場合があります。甘いから腐りにくい、などという過信は禁物です。良く考えて。

(2) 食品中の脂質過酸化を防止する(脂質酸化防止作用)

 食品中の水分があると、酸素もそのなかに溶解している場合があります。しかし、砂糖が結合することで、酸素が溶解しにくい水になるので、脂質が酸化しにくくなります。クッキーは、手作りするとげんなりするほど油脂を使いますが、酸素吸収剤を入れて密閉保存すればそれなりに保存できます。それには砂糖も関与しているのです。

バターは飽和脂肪酸が多いからそもそも酸化しにくいですよね?とツッコミを入れたあなた!!
さすがです。良いところに気がつきました。

確かにバターはパルミチン酸(16:0、炭 素数:二重結合数)やステアリン酸(18:0)は多いですけど、オレイン酸(18:1)も多いし、リノール酸(18:2)もゼロではありません。酸化しないと言い切れる油脂ではないのです。それに口当たりが軽くなるので、手作りする時にマーガリンを使う人もいます。
菓子

(3) でんぷんの老化を防止する

 餅やごはんを放置しておくと、かたくなったりパサついたりします。これをでんぷんの老化と呼びます。生でんぷんに水を加えて加熱した(糊化、α化)ので、流動性がでていたのですが、放置により水分が蒸発したために起こる現象です。砂糖を加えておくと、砂糖が水分をかかえこんで離さないので、デンプンの老化防止につながるのです。すし飯や和菓子の餅菓子には砂糖が入っているので常温でもかたくなりません。

 

(4) 泡の安定化に寄与する

 卵白を泡立ててメレンゲを作る時に、砂糖を加えると、その保水性により泡が安定化し、よりきめ細かくしっかりした泡ができます。メレンゲばかりでなく、生クリームやバターなどでホイップクリームを作る時も砂糖の添加で泡が安定化します。

 

(5) たんぱく質の凝固をやわらげる

 卵料理に砂糖を入れるとたんぱく質の凝固温度が上がり、固まりにくくなります。結果的に柔らかくなります。肉が柔らかくなるのは肉中のコラーゲン、砂糖、水分が相互作用して水分蒸発を抑制しているからです。同じ「肉を柔らかくする」のでも、生パイナップルの汁に含まれるたんぱく質分解酵素(プロテアーゼ)の作用とはちょっと違います。

 

(6) ゼリー化の補助・パン発酵促進など

 ジャムは、果物に含まれるペクチンと糖が酸性化でゲル化することによってできる加工品です。砂糖がなくてはつくれないし、本来なら十分な量の砂糖が必要です。パンを作るためのイーストも、小麦粉中の炭水化物と砂糖をエサにして活動し、二酸化炭素を生成してパンのふくらみを作ります。

 

(7) アミノカルボニル反応・カラメル化反応

砂糖に含まれる糖と牛乳や小麦粉、卵などに含まれるアミノ酸が加熱により反応して、「焼き色」を作り出します。アミノカルボニル反応そのものは、糖とアミノ酸の反応で、小麦粉などにも糖は含まれるため、焼き色のすべてが砂糖とたんぱく質の加熱によるもの、ではありませんが、砂糖も反応の一端を担っています。同じショ糖とアミノ酸の反応でも、「ショ糖+フェニルアラニン」と「ショ糖+メチオニン}では加熱香気が違います。

カラメル化の色は、べっこうあめやプリンのカラメルなどに使われていますが、お菓子には「カラメル色素」として添加されています。

 

(4) 砂糖の加熱 

 砂糖は煮詰めることでいろいろな形に変化します。なかには化学の教材として使えそうなものも多いです。

  砂糖の加熱によってできるもの・・・

    シロップ   キャンデー(あめ)   キャラメル(ヌガー)    べっこうあめ    カルメ焼き   フォンダン   カラメル
      ※キャラメルは、ほかにクリームなども必要で、砂糖と水からだけでは作れません。


  飴やフォンダンを作ってみましょう!

    フォンダンは、菓子パンの上などにかかっている白い砂糖液?です。砂糖を110℃-115℃くらいに加熱しておいて、
    40-50℃まで放冷し、その後割り箸や泡だて器などを使って強くかき混ぜ、溶液を刺激して結晶を析出させます。

    あめもフォンダンもテフロン加工のフライパンが普及しているので作りやすいです。(後片付けは大変かも・・・)

    100℃以上に加熱したあめは、肌にひっつくとものすごく熱いうえにとれません。やけどするので注意してください。

 

  カルメ焼きを作ってみましょう!

    カルメ焼きは、あまり見かけないお菓子かもしれませんが、砂糖を化学反応で膨らませて作るので、見た目に面白く、中学理科
    の教材に用いられています。WEBにはたくさん教材事例が紹介されています。

 

 特徴のあるアミノカルボニル反応を起こしてみましょう!

    ミックスを使わずに小麦粉、ベーキングパウダー、卵、水、牛乳、砂糖を混ぜて生地を作ります。
    そこに加える水に「味の素」(グルタミン酸ナトリウム)やメチオニンなどの各種アミノ酸を少量(小麦粉の0.1%程度)加えて
    生地を完成させ、ホットケーキを焼くと香りの異なるホットケーキができます。

    ショ糖とアミノ酸を試験管に入れて、上に軽くアルミホイルなどでふたをし、加熱してもモクモクと焦げて膨れはじめるので、
    加熱香気の違いを確認できます。加熱した試験管は、必ず沸騰水に漬けて焦げを落としやすくしましょう。
    炎で加熱した熱い試験管を冷たい水のなかに入れると危険です。ガラスの試験管がひび割れます。

 

参考文献: